2018年1月27日土曜日

Taiko Super Kicks - Many Shapes



メニイシェイプス

水辺で犬が吠える
砂漠の熱を受けて
鍋の中の狭い海にも
わずかに波が寄せては返す

おお メニイシェイプス
散らばる石のそれぞれ

汽笛が鳴り響けば
月から闇が落ちて
針の先の狭い窓にも
わずかに明かり
灯っては消える

おお メニイシェイプス
散らばる石のそれぞれ
おお メニイシェイプス
広がる傷のそれぞれ


シート

街の灯りが消えるころに
僕は君と待ち合わせる
話す内容がもうないよ
話す内容もないよ もう

もっともらしい会話なら散々した
バックミラー越しに僕は訊く
過去が襲ってくるなんて
よくあることでしょう

街に灯りが戻るころに
僕と君は子どもになる
まねる必要はもうないよ
まねる内容もないよ もう

頭の中の迷惑なら散々した
去り際 横見に君は言う
何かわかったことなんて
一度もないでしょう


流れる

揺らめく木々の隙間に
重なる影の群れ
今ならわからないまま
遠くへ流れていける

手を放しているのは
決めることもないから
目を薄く開けるのは
知らない道を歩きたいから

投げ捨てて
浅く沈む
身を任せ
すきまに
もろく滑りこむのだ

漕ぎ出した船の流れは
今でもぼやけている
揺らめく木々を仰げば
まだ名をもたない虫


低い午後

柔らかく 温和で
午後は低い
誰も窓の外を見ようとはしない
長い間こもった
居心地のいい空気を
洗練させているから

盲目な彼らの
午後は低い
誰も窓の外を見ようとはしない
長い間眠った
とりとめのない声が
小さく
揺れているから

いびきのような足音がする
気がつけば
今にもほどけそうな
君のその靴!


別れ

本当の別れを告げると
人は知らない顔をする
本当の言葉を喋ると
見たことのない顔をする

歩道の隅ではタップダンス
蒸せる暑さを蹴り上げる
隣町の星座
浮かんでは消える

愛だけが同じさ
それ以外全て
愛だけが同じさ
遠く離れて


釘が抜けたなら

饒舌が光る夜
酒の肴は有り余るほどで
時間だけがない

それぞれに灯る窓の明かりは
採れそうで
いつも触れられない

泣きそうな顔のまま
どこかに決めつけられている

釘が抜けたなら
あなた
きっと緩まって蜜蜂のように
軽く飛ぶだろう

かさばったままの
日々を曲がれば
錆びついた夜が
色を変える

それぞれに灯る窓の明かりは
さみだれて
いつも触れられない

泣きそうな顔のまま
未だに締め付けられている

釘が抜けたなら
あなた
きっと緩まって
蜜蜂のように
軽く飛ぶだろう

釘が抜けたなら
あなたの青い重心は
街角を抜けて
軽く飛ぶだろう



生温い風が
吹き付けるから
目が乾いてしまう
僕は劇場
向こうにいる人々
微笑んではくれない

僕は劇場
横にいるあなた
微笑んではくれない
体の水が
じりじりじりと
流れ出て渡る

今はまだ
泳がないで
今はまだ
そこにいて

僕は劇場
横にいるあなた
微笑んではくれない
体の水が
じりじりじりと
流れ出て渡る


ラフ

猥雑なことからはじめる僕ら
完成が切り裂き 夜に響く
簡単なことから忘れる僕ら
運命がなる時 人は叫ぶ

いいものね
そういうのも
無駄が
それだけで
豊かになるよう


夏を枯らして

誰かが呼んだ
どこまでも広がる大きな声が
今では悲しい
夏を枯らして

刺さるほどに懐かしい景色
恥ずかしいほどに愛おしい
夏を枯らして

誰かが呼んだ
どこまでも広がる
刺さるほどに
愛おしい

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