2018年4月28日土曜日

台風クラブ - 初期の台風クラブ


台風銀座

遠くで風が鳴り
ぱんぱんの夜空を引っ掻く
もうすぐこの場所も
台無しになるのか結局

台風 待ちぼうけの今夜を道連れに
台風 怒りっぽい夜風が過ぎてゆく

上手に眠れない
生ぬるい夜風を一服
交差点駆け回る
顔のないやつらの輪郭

台風 待ちぼうけの今夜を道連れに
台風 怒りっぽい夜風が過ぎてゆく

予感だけ
あてにして
一晩中
待ちぼうけ

ちっとも面白ない 上手に踊れない
まっすぐ帰れない ぐっすり眠れない

台風 待ちぼうけの今夜をくれてやる
台風 散々な出来事をちゃらにして
台風 怒りっぽい夜風が過ぎてゆく


ついのすみか

戸締りの甘い午後
扇風機の風に舞う
胸の焼けるにおい

手付かずの憧れや
判で押した諦めが
でたらめ踊りだす

名場面過ぎたあたりで
すり切れたテープを巻き戻す
ずっと住んでるこの部屋で
ふと何かを思い出す

手がかりを食いつぶし
缶ビールを流し込み
薄れてく面影

甲斐性なしの窓辺から
高気圧の海辺まで
続いてるたそがれ

ゆっくり手を離れてく
寂しさもいつかは旅に出る
ずっと住んでるこの部屋を
ただ季節が通り過ぎるだけ

口笛吹く レコード聴く
平穏な日々を囃し立て
太陽が沈む

ゆっくり手を離れてく
寂しさもいつかは旅に出る
ずっと住んでるこの部屋で
また場面を巻き戻し
ふと何かを思い出し
この季節をやり過ごすだけ


ずる休み

気の遠くなるような空の青
書割みたいな水曜の町

架空の現在地に腰をおろし
逆さに眺めりゃ知らない町

ずる休み、ずる休み、
プレイン・フッキー、9 - 5
ずる休み

あてずっぽに路地を手繰って
知らないままおれをさらって
帰れない長い午後
うろついてたいのさ

窓辺でだれかがピアノ叩く
白昼に憂鬱が染み込んでさ

素通りの路地には花の匂い
町中の秘密を吸い込んでさ
ずる休み、ずる休み、
プレイン・フッキー、9 - 5
ずる休み

あてずっぽに路地を手繰って
知らないままおれをさらって
帰れない長い午後
うろついてたいのさ

振り向いたらいつもの往来
知らないまま旅は終わって
夕暮れ長い影
つれないネオンサイン


ダンスフロア

遠く 踊る誰か
ステージをジャンプ
さまになってた

調子ふさぐおれと
穴あきのコンバース
床を這ってる

サーカスみたいな光
あたり飛びまわる夜更け

前に倣って 足からまって
くそったれパーティーさこの感じ
別のやり方 違うステップ
でたらめなおれを
知らん顔すんなよミューズ

ゆうべ わかった何か
耳鳴りのせいで
遠ざかってく

通り とても静か
気晴らしのナンバー
ずっと待ってる

すぐに忘れてく気持ち
いつも触れない光

前に倣って 足からまって
くそったれパーティーさこの感じ
別のやり方 違うステップ
でたらめなおれを
知らん顔すんなよミューズ

朝日が差す
西日が差す
月明かり差す
また鳴り出す
いつものダンスフロア


相棒

結局よく似た風景に
佇んでる老いた相棒よ
愛想尽かしたのかついに
溜めこんだツケがまわる

計画はすぐ濁っていく
欲しがった心は本当か
まともになっていく歪み
消えてった淡い面影に

から回ってく 口ずさんだ歌も忘れて
戯れに繋がってる手の脈を探す

きっと気づいてる
お別れはずっと前にやって来て
恐怖心だけを餌にして息をつないでいる

期待はずれのラストが
散らばってる日々の行方に
黙りこくっているおれも連れてって
連れてって長いお別れに

風のない夜 寝静まった町を訪ねて
狂熱とたむろった夏の通りを歩く

とうに気は済んでる
置き去りになったいつかの出まかせを
思い出にすれば 手遅れの時は過ぎてゆく

から回ってく 口ずさんだ歌も忘れて
戯れに繋がってる手の脈を探す

きっと気づいてる
お別れはずっと前にやって来て
恐怖心だけを餌にして息をつなぎ
とうに気は済んでる
置き去りになったいつかの出まかせを
思い出にすれば 手遅れの時は過ぎてゆく


春は昔

あーおれの
隙だらけの気分や退屈が
家路に迷って

帆を掲げて
町灯りに駆けてく瞬間を
奴らが狙ってる

天気のせい永すぎた冬のせい
言い訳はいくつでもあって

いつまでも間違えていようとか
そんな気は滅多にありゃしないか

夕闇に融ける境界線
魔が差して跨いで

何年前の春の風 手招いた通りの向こう
太陽も凍てつく様な季節を
自転車でいくつも巡った

あーそれは
手懐けた猫の様な顔をして
すぐ傍にあって

夕凪に風が立ち止まり
振り向いてしまった

何年前の春のこと 横切った通りの向こう

夕闇に融ける境界線
また迷子になって

何年前の春の風 手招いた通りに
だんだん夜は降りてきて
彷徨ったハートがブルー

あー春は遠い昔


42号線

春が来たら海へ
行こうじゃないか
君の親父の車を借りて
小銭を集めて
ガソリン入れて

田舎の一本道を
南へ飛ばす
風にちぎれてヒップなエイトビート
口笛鳴らして
トンネル抜けて

西日で焼かれて
夜風に巻かれて

煙で歯茎をすすいで
晩飯も要らない
タンクはいまにからっけつ
あんたも好きだね

春が来たら海へ
行こうじゃないか
君の親父の車を借りて
小銭を集めて
ガソリン入れて


処暑

懐かしい煙草の匂いと
腰下ろす土手の草いきれ
浅ましく風を待ちながら
おれはちょっと涼しいみたいだ

口ずさむうたが年老いて
この頃じゃ皆よそよそしい
つきまとった言葉や匂いも
まるでどっか他人事みたいだ

知らぬ間に全部が飴色に染まり
燃えざしの気分はそのまま
半端な夜風と踊るよ
おれはちょっと涼しいみたいだ

あてもなく部屋を飛び出して
同じ様な場所に戻るけど

橋の上汽車が横切れば
おれはどっか行けそうな気分だ

そんなイメージを飼い慣らすうちに
この騒ぎも終り

さいならみじめな子供よ
待ちわびてばかりの時間よ
老いぼれて夏が終るよ
おれはちょっと涼しいみたいだ

こんなにみじめな西日に
燃えざしの気分はそのまま
半端な夜風と踊るよ
おれはちょっと涼しいみたいだ


飛・び・た・い

エレキギターにも飽きて
部屋でしれっとしてるよ
ドラッグストアーへ行こうか
甘いシロップをどうも

高鳴りだすさ BPM
出来心はポッケに隠して
勘違いだったアイデアを
チャリにあずけてクルージン

夜を巡り 上り下り ひとり遊び 町はひかり
あと10分で何度目のセプテンバーさ
辿り着いたコンビニの駐車場でゲロ

国道の隅っこ歩いて
逆光で視界が不安定
突風が過ぎるのを待って
も一回飛べると思うかい

パトカーの赤色灯が綺麗ね
ぼんやりと涙目に映して
勘違いだったアイデアを
チャリにあずけてクルージン

夜を巡り 上り下り ひとり遊び 町はひかり
あと10分で何度目のセプテンバーさ
ふざけすぎて

夜は終り 風に当たり ひとり遊び 寂しくなり
金輪際で上出来の夏は来ないさ
辿り着いたコンビニの駐車場でゲロ


まつりのあと

コンビニに寄って カップ酒持って
線路沿いを歩く おしゃべりな気分は
しばらく続いた 勘違いだった
不意に酔いは醒める もうわかってるよ

ぬるくなった手のひらで
融けちまった冷たさや
やがて染まる青さを
これっぽっちも捨てやしないで

誰も居ない シーンとしてる
いつも通りの夜道に
たったひとり 期待してる
自分勝手な幽霊が
ほんの少し甘い夜を食んでいる

帰れないずっと 真夜中になって
みんなどっか消えた それぞれの気分で
言葉よりずっとい 不確かになった
きっとこれが夏の 手触りだってこと

ぬるくなった手のひらで
融けちまった冷たさや
やがて染まる青さを
これっぽっちも捨てやしないで

誰も居ない シーンとしてる
いつも通りの夜道に
たったひとり 期待してる
ほんの少し甘い夜を食んでいる

明け方にそっと 通り雨降って
路上に残る熱を どぶ川に還して
踏切が鳴った 町は鎮まった
やっとおれは気付く 手遅れだってこと

2018年1月27日土曜日

Taiko Super Kicks - Many Shapes



メニイシェイプス

水辺で犬が吠える
砂漠の熱を受けて
鍋の中の狭い海にも
わずかに波が寄せては返す

おお メニイシェイプス
散らばる石のそれぞれ

汽笛が鳴り響けば
月から闇が落ちて
針の先の狭い窓にも
わずかに明かり
灯っては消える

おお メニイシェイプス
散らばる石のそれぞれ
おお メニイシェイプス
広がる傷のそれぞれ


シート

街の灯りが消えるころに
僕は君と待ち合わせる
話す内容がもうないよ
話す内容もないよ もう

もっともらしい会話なら散々した
バックミラー越しに僕は訊く
過去が襲ってくるなんて
よくあることでしょう

街に灯りが戻るころに
僕と君は子どもになる
まねる必要はもうないよ
まねる内容もないよ もう

頭の中の迷惑なら散々した
去り際 横見に君は言う
何かわかったことなんて
一度もないでしょう


流れる

揺らめく木々の隙間に
重なる影の群れ
今ならわからないまま
遠くへ流れていける

手を放しているのは
決めることもないから
目を薄く開けるのは
知らない道を歩きたいから

投げ捨てて
浅く沈む
身を任せ
すきまに
もろく滑りこむのだ

漕ぎ出した船の流れは
今でもぼやけている
揺らめく木々を仰げば
まだ名をもたない虫


低い午後

柔らかく 温和で
午後は低い
誰も窓の外を見ようとはしない
長い間こもった
居心地のいい空気を
洗練させているから

盲目な彼らの
午後は低い
誰も窓の外を見ようとはしない
長い間眠った
とりとめのない声が
小さく
揺れているから

いびきのような足音がする
気がつけば
今にもほどけそうな
君のその靴!


別れ

本当の別れを告げると
人は知らない顔をする
本当の言葉を喋ると
見たことのない顔をする

歩道の隅ではタップダンス
蒸せる暑さを蹴り上げる
隣町の星座
浮かんでは消える

愛だけが同じさ
それ以外全て
愛だけが同じさ
遠く離れて


釘が抜けたなら

饒舌が光る夜
酒の肴は有り余るほどで
時間だけがない

それぞれに灯る窓の明かりは
採れそうで
いつも触れられない

泣きそうな顔のまま
どこかに決めつけられている

釘が抜けたなら
あなた
きっと緩まって蜜蜂のように
軽く飛ぶだろう

かさばったままの
日々を曲がれば
錆びついた夜が
色を変える

それぞれに灯る窓の明かりは
さみだれて
いつも触れられない

泣きそうな顔のまま
未だに締め付けられている

釘が抜けたなら
あなた
きっと緩まって
蜜蜂のように
軽く飛ぶだろう

釘が抜けたなら
あなたの青い重心は
街角を抜けて
軽く飛ぶだろう



生温い風が
吹き付けるから
目が乾いてしまう
僕は劇場
向こうにいる人々
微笑んではくれない

僕は劇場
横にいるあなた
微笑んではくれない
体の水が
じりじりじりと
流れ出て渡る

今はまだ
泳がないで
今はまだ
そこにいて

僕は劇場
横にいるあなた
微笑んではくれない
体の水が
じりじりじりと
流れ出て渡る


ラフ

猥雑なことからはじめる僕ら
完成が切り裂き 夜に響く
簡単なことから忘れる僕ら
運命がなる時 人は叫ぶ

いいものね
そういうのも
無駄が
それだけで
豊かになるよう


夏を枯らして

誰かが呼んだ
どこまでも広がる大きな声が
今では悲しい
夏を枯らして

刺さるほどに懐かしい景色
恥ずかしいほどに愛おしい
夏を枯らして

誰かが呼んだ
どこまでも広がる
刺さるほどに
愛おしい